土地の評価額と固定資産税の関係について
課税標準と土地評価額の求め方
土地の課税標準をどのようにして求めるかについて、特に税制改革前の議論では、土地売買実例価額から求めるべきだという主張もありましたが、当時は売買例がまだ少なかったため、収益価格による評価が行われることとなりました。初期の段階では自主的な計算法が採用されていましたが、算出された税収が目標に達しなかったため、強制的な評価方法が導入されました。
また、市街地に対しても課税が行われました。最高値の土地の時価を基準に地代を割り、その価格を元にして各土地の評価額が求められました。その後、標準的な地代に一定倍率を乗じる「賃貸価格方式」が導入され、家屋税の課税標準としても賃貸価格が用いられるようになりました。
戦後の税制改革と固定資産税の導入
第二次世界大戦後、シャープ勧告による税制改革で地租が廃止され、市町村税としての固定資産税が導入されました。シャープ勧告とは、第二次世界大戦後の1949年、GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)における経済顧問であるジョセフ・シャープ博士の提案に基づいた日本の税制改革です。このとき、課税標準としての土地や家屋の評価方法には、賃貸価格を継続するか資本価格に基づく評価を採用するかの議論がありました。最終的に、戦時中の地代や家賃が低く抑えられていたため、資本価格による評価が採用されました。
しかし、実際の評価方法としては改正前の賃貸価格に一定倍率を掛けて算出する方法が引き続き用いられました。この方式は、昭和37年(1962年)に固定資産評価基準が出され、売買実例価額を基にした評価方式が導入されました。
固定資産税評価の仕組みと路線価
固定資産税の評価方法として採用された「路線式評価方法」は、街路ごとに標準的な画地の価格を設定し、それに基づいて各土地の評価額を決定します。この方式により、宅地の評価替えが行われ、土地バブルの影響で全国平均で約6.3倍の値上がりが見られました。税負担増加を緩和するため、負担調整措置が導入され、その後も改正され続けています。
家屋の評価方法についても、標準的建築費に基づいて価額を算出し、経年減価率で修正する方法が採用され、現行の評価基準に至っています。
公共用地の収用と損失補償
戦後の新憲法により、公共用地の収用に際しては正当な補償が求められるようになり、土地収用法に基づいて補償額が決定されました。昭和37年(1962年)には「公共用地の取得に伴う損失補償基準」が統一され、以降の補償はこの基準に従って行われています。
また、民間における不動産評価は、金融機関の担保物件の評価が中心となっています。貸付金が返済されない場合、担保物件を処分して未収金を回収するための評価が行われ、固定資産税評価とは異なり、より精密な調査が要求されます。
まとめ
この記事では、土地評価の流れと固定資産税の関係について詳しく解説しました。
戦後の税制改革から現行の固定資産税評価基準に至るまで、不動産評価の方法は精度を高めながら発展してきました。
特に、日本勧業銀行の影響で不動産評価の専門知識が蓄積され、現在の鑑定基準が確立されたことが分かります。
これらの評価基準は、固定資産税の公平な課税を支える重要な役割を果たしています。